ペーパーコットンニットができるまで
和紙をホールガーメントで編む、ペーパーコットンニットができるまで。
プリスティンの春夏に欠かせない「ペーパーコットンニット」ができるまでを取材しました。
すべてのものには生まれてきたストーリーがあります。みなさまの手元に届くまでに辿ってきたものづくりの様子を、少し覗いてみませんか。
ペーパーコットンとは
年々、過酷な暑さになる夏。猛暑を少しでも快適に乗り切るために、プリスティンには毎年欠かせない素材があります。
それは「和紙」と「オーガニックコットン」を掛け合わせてつくる、ペーパーコットンシリーズです。

抜群の吸湿速乾性、天然繊維の中で一番ドライタッチなペーパーコットンヤーンと、柔らかなオーガニックコットンを掛け合わせ、さらに無縫製で仕上げ、涼しさとなめらかでシームレスな着心地が楽しめます。

大阪府枚方市へ
1919年に創業。100年以上の歴史がある「第一メリヤス株式会社」の代表取締役社長の小久保貴光さんと、部長の小久保智輝さんに「ペーパーコットンニット」や「ペーパーコットンリブシリーズ」のものづくりを取材させていただきました。
プリスティンでは2015年より第一メリヤスさんと和紙とオーガニックコットンを掛け合わせたものづくりをはじめ、毎年の人気シリーズとなりました。

工場を見に行きましょう

糸を整える
「糸のコンディションを整える工程です。」ニットのものづくりはまず糸を整えるところから。ワインダーと呼ばれる機械にセットされた糸コーンがくるくると周り、別のコーンに巻きつけられています。
和紙の糸は繊維が滑りにくいため、薄くワックス(蝋)を塗って滑りをよくします。通常ワックスをかける回数は1つの糸コーンに対して1回のところ、ペーパーコットンの糸は3回行います。

この工程では、糸を整えるのと同時に「ガイド」と呼ばれるストッパーのようなパーツの間に糸を通すことで、糸に結び目や綿埃などイレギュラーな状態が無いかを検査しています。

編み立て
ホールガーメント横編機を使って編み立てます。一本の糸で一着まるごと、立体的に編むことができます。
編み機の中にある「キャリア」と呼ばれる糸の張り具合を調整しながら糸を運ぶ装置が、左右に動いて編んでゆきます。

左右に動くその糸を、下から順に出てくる小さなかぎ針で引っ掛けて、ひと目ひと目を編み進めてゆきます。

タンクトップが編み上がり、機械から出てきました!
じつはペーパーコットンリブシリーズは、このように製品化するまでには苦労がありました。

ペーパーリブシリーズに使用しているのは、ペーパー糸とオーガニックコットン糸を寄り合わせた糸のため、それぞれのテンションが違います。(テンション:糸にかかる張力や引っ張り具合)
和紙はオーガニックコットン糸によりハリがありテンションがないため、サンプル作成時には編み途中で切れてしまったりささくれのようになってしまいました。
ですが糸の整理を丁寧に3回行うことで、綺麗に仕上げていただきました。

部長の小久保智輝さんは編み上がったペーパーリブシリーズの肌触りについて、

「冷やっとしている。リブ編みだから肌離れが良いのもあるかもしれないですね。」と話されていました。
素材の涼しさに加えて、細かなリブによって肌離れが良いことも、このペーパーリブシリーズの心地よさのポイントです。
検品
編み上がった製品をひとつずつ光る筒で透かしながら、編み地に異変がないか確認していきます。
細かい編み地なので目視でもなかなか見つけられそうにないのですが、しっかり見つけられるそうです。

糸始末
製品から出ている糸端を始末していきます。細いかぎ針棒でひと目ひと目をすくって糸を編み地の中にしまっていきます。
細かい作業ですが製品ひとつひとつ手作業で、レギンスは5〜6箇所糸始末をします。
ホールガーメントというと機械から製品がそのまま出てくるというイメージもありますが、じつは手作業が欠かせないのです。

仕上げ
洗いの工程を経て、最終仕上げをします。型に入れた状態でスチームアイロンをかけて、下から熱を吸引して形を整えます。

糸は生き物。機械を操るにも、人の手が重要。

最後に、小久保社長にホールガーメントの魅力や難しさを聞きました。
「シームレスに作るからこそ伸びの良さがあり、肌着にはぴったり。糸は生き物。思ったようにいかないけれど、編めない編み地も、人間の調整次第で編めるようになる。デジタルフォーメーションなどそんな簡単なことでやっている技術ではないのです。」
プリスティンの商品ページで「袖を通してみてこんなリブセーターを着たことがない!」などお客様からの嬉しいレビューを見てくださっていて、「ものの価値をわかっている人と作り手の思いが合わさり進化していけば、もっと面白い世界になると思う。」そう話してくださいました。

丁寧な糸の整理からひと目ひと目をひろう糸始末など、とことん人を思うものづくりから生まれたニット製品です。ぜひ究極の着心地を、試してみてください。