ヤクフェイクファーができるまで
和歌山産地の職人技を繋いで作る生地。
オーガニックコットンとヤクで作る、「ヤクフェイクファーコート」の生地ができるまでを取材しました。すべてのものには生まれてきたストーリーがあります。みなさまの手元に届くまでに辿ってきたものづくりの様子を、少し覗いてみませんか。
ヤクフェイクファーとは
ヤクとコットンを混紡し、無染色で仕上げた優しいグレーカラー。あたたかくてふんわり柔らかな肌触り。秋冬に人気のファーシリーズから、表側にはヤクコットンフェイクファー生地、内側にはオリジナルのキルティング生地を使ったファーコート・ベストが登場しました。

和歌山県高野口地区へ
訪れたのは和歌山県の紀ノ川のほとり、高野山の入口にあたる高野口地区。
地域には昔から織編み物屋、加工屋が集まっており、古くから続くパイル生地の産地となりました。
はじめに松岡織物さんで生地を編みます。
松岡織物さんは、今回取材するヤクフェイクファーの他にも、日本でもこの和歌山県高野口地区だけで作られている「市松シリーズ」のシール織や、ウールとコットンの天然繊維100%で作る「リアルフリース」の生地を手掛けている工場です。
こちらの記事でも松岡織物さんのものづくりをご覧いただけます。
工場を見に行きましょう
生地を編む
ヤクフェイクファーはぐるりと回りながら編む丸編み機で編まれます。パイル状に編み進めながら、編んでいる針についた小さなカッターで、パイルをカットしています。
一つの編み機が、何役も仕事をこなしながら、パイル生地が編み立てられてゆきます。

生地を洗う
編み上がった生地は、木下染工場へ移動して洗いの工程へ。
ぐるぐるとしなやかに回しながら、生地を洗う機械。ヤクフェイクファーは、冷水と60度のお湯で何度も洗いを繰り返します。
時間をかけてしっかり洗うと、生地のアクが取れて風合いが良くなります。
木下染工場さんは廃校になった木造校舎を移設して工場をはじめました。高温のお湯を使うため、熱気がこもらないことも利点です。
洗い上がった生地は次の工程に向かいます

生地を整える
アオイ整染工業所で、ふわふわのファーの状態に整えます。
毛割という工程で、生地表面に出ている糸を解撚し、糸の撚りを開いてファーの毛質に仕上げたあと、その毛先をカッターで均一にカットして整えるシャーリングを行います。
目指す風合いによって、使う針や機械を変えて調整していきます。どの長さ、どの種類の針を使うか、何回針を通すのかは、熟練の技と勘が頼りです。

こうしてカットしてパイルになった生地の表面が均一になることで、天然繊維のフェイクファーに、優しい艶が生まれ、上質で気持ちの良い風合いになります。

和歌山県高野口で受け継がれた職人技の結晶
それぞれの工程の職人技を繋ぎ作られる、ヤクフェイクファー。上質な肌触りを、ぜひ試してみてください。
次の記事では、ヤクフェイクファーコート・ベストの内側に使用するキルティング生地を作る様子も取材しています。ぜひご覧くださいませ。
▶︎ キルティングができるまで