#ものづくりストーリー

鹿の子メッシュの生地ができるまで


通気性抜群、軽やかな着心地。

春の新素材「鹿の子メッシュ」の生地ができるまでを取材しました。

すべてのものには生まれてきたストーリーがあります。

みなさまの手元に届くまでに辿ってきたものづくりの様子を、少し覗いてみませんか。

鹿の子メッシュとは

上品な見た目と、メッシュ構造による抜群の通気性が特徴。

群馬県桐生市へ

訪れたのは、日本を代表する繊維産業の地、群馬県桐生市。ここにある図子田テキスタイル株式会社は、明治末期に創業し、1977年からニット製造を手掛けています。プリスティンの定番生地「ノーマルパイル」なども手がける、長年お世話になっているニッターさんです。

編み立ての様子を見に行きましょう

ニットは、糸のループのつながりで作られ、編み方は大きく2つに分かれます。横方向に編む「緯(よこ)編み」と、縦方向に編む「経(たて)編み」。今回の鹿の子メッシュは、経編みの「トリコット」という方法で作られています。

トリコット編みの特徴

隣り合う糸を絡ませながら編むため、緻密で上品な風合いが特徴。編み目がほつれにくく安定しているため、裁断や縫製がしやすいのもポイントです。

糸の準備:ビームに巻きつける

まず、「ビーム」と呼ばれる円柱状の部品に糸を巻きつけます。作りたい生地に必要な糸の長さや本数を計算し、糸を準備します。

糸を編み機にかける

ここからは職人技が光る作業。先端がかぎ針のようになったスレッダーという道具を使い、ガイドニードルに糸を通していきます。一巾で約2000本の糸を手作業で、1mm以下のガイドの隙間に通しています。細くて柔らかいオーガニックコットンの糸でこの作業を行えるのは、数名の職人のみです。


1本でも通し方が乱れると、きれいな生地にはなりません。鹿の子メッシュはメッシュ状にするため1本飛ばしでかけるため、さらに手間をかけて糸を通しています。

生き物のようなコットンに向き合うものづくり

代表の図子田さんは、「コットンは生き物だ」と言います。コットンは「風綿(綿ぼこり)」が発生しやすいため、糸切れセンサーが誤作動を起こすことも多く、編み立て時にも苦労があるそうです。このように、縦編み組織は織物にも似た糸の準備工程が必要で、高い技術が求められる生地なのです。

 

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